「包丁の切れ味が悪くなったけど、自分で研げるのかな…」
「砥石を使った正しい研ぎ方が知りたい」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、両刃包丁の研ぎ方は基本さえ押さえれば、初心者でもしっかり切れ味を回復させることができます。この記事では、包丁メーカーや専門店のノウハウをもとに、砥石を使った両刃包丁の正しい研ぎ方をステップバイステップで解説します。
包丁研ぎに必要な道具や注意点もあわせて紹介するので、初めての方でも安心してチャレンジできるはずです。
両刃包丁とは|片刃との違いを簡単に理解しよう
まず、両刃包丁とは何かを簡単に説明しておきます。
両刃包丁は、刃の表と裏の両方に刃がついている包丁のこと。いわゆる洋包丁と呼ばれるもので、家庭で最もよく使われている三徳包丁や牛刀、ペティナイフなどが代表的です。
一方、片刃包丁は、主に和包丁(出刃包丁や柳刃包丁など)に見られる形状で、刃の表側だけに刃がついています。
この記事で紹介する研ぎ方は、あくまでも両刃包丁を対象としたものです。片刃包丁は研ぎ方が大きく異なるので、この記事の内容は参考にしないでください。
両刃包丁を研ぐ前に知っておきたい3つのポイント
実は、包丁研ぎにはいくつかのコツがあります。初めて挑戦する前に、まずはこの3つを頭に入れておきましょう。
研ぐタイミングの見極め方
包丁を研ぐべきタイミングは、料理をしていて「なんとなく切りづらいな」と感じたときです。もう少し具体的なサインとしては、以下のようなものがあります。
- トマトの皮が滑ってうまく切れない
- 玉ねぎを切るときに涙が多く出る
- 食材を切るときに包丁を押し込むような力が必要
これらのサインが出たら、そろそろ研ぎどきです。研ぐ頻度の目安は、一般的に月に1〜2回程度と言われています。ただし、使う頻度や食材によって変わってくるので、あくまで目安として考えてください。
砥石の種類と選び方
包丁研ぎに欠かせないのが砥石です。砥石にはいくつかの種類があり、番手(目の細かさ)によって使い分けます。
中砥石(#800〜#2000)
日常的なメンテナンスに最適な砥石です。切れ味が落ちた包丁を、普通に使える状態まで戻せます。包丁研ぎが初めての方や、1本だけ砥石を揃えるなら、まずはこの中砥石を選ぶとよいでしょう。
仕上げ砥石(#3000以上)
中砥石で研いだ後に使うと、より鋭い切れ味になります。ただし、中砥石だけでも十分な切れ味は得られるので、最初から仕上げ砥石が必須というわけではありません。
面直し砥石
砥石は使っているうちに表面が凹んでしまいます。面直し砥石は、凹んだ砥石の表面を平らに戻すためのものです。砥石を長く大切に使いたい方は、あわせて用意しておくと安心です。
砥石の準備と正しい姿勢
砥石は、使う前にしっかり水に浸す必要があります。目安としては5〜20分程度。砥石の中まで水がしっかりしみ込んだら準備完了です。
研ぐときの姿勢も意外と重要です。腰を落とし、包丁をまっすぐに保つことで、安定した角度をキープしやすくなります。
また、研ぎ作業中は砥石の上に研ぎ汁(砥石の粒子と水が混ざったもの)ができます。この研ぎ汁は研磨剤の役割を果たすので、拭き取らずにそのまま使うのがポイントです。
両刃包丁の正しい研ぎ方【ステップバイステップ】
ここからが本題です。砥石を使った両刃包丁の研ぎ方を、手順に沿って詳しく説明していきます。
ステップ1:包丁を正しく持つ
研ぎ方を覚える前に、まずは包丁の正しい持ち方を確認しましょう。
包丁の持ち方の基本は、3点支持です。具体的には以下のように持ちます。
- 人差し指から小指までの4本の指を峰(刃と反対側の背の部分)に添える
- 親指を刃に近い部分に添えて支える
- 反対の手は、包丁の先端付近を軽く押さえる
この持ち方をすることで、包丁を安定させながら研ぐことができます。
ステップ2:研ぐ角度を決める
両刃包丁を研ぐときの角度は、10度から15度が目安です。
具体的にイメージしにくい方は、10円玉を2〜3枚重ねた程度の高さを目安にするとよいでしょう。包丁の峰(背の部分)と砥石の間に、そのくらいの隙間ができる角度です。
この角度をキープすることが、包丁研ぎで最も重要であり、同時に初心者が最も苦戦するポイントでもあります。研ぎながらこまめに角度を確認する習慣をつけましょう。
ステップ3:表側(刃先が手前)を研ぐ
ここから実際に研いていきます。
表側(切れ刃がある側)を砥石に当て、刃先を手前に向けて構えます。
研ぐときの動きのポイントは、以下の通りです。
- 包丁全体を、砥石の手前から奥へとまっすぐに動かす
- 刃先を奥から手前に引きながら研ぐ(研ぎ終わりの位置で刃先が手前に来る)
- 力を入れるのは押すとき(奥へ進めるとき)
- 力を抜くのは引くとき(手前に戻すとき)
力加減は強すぎず、包丁の自重がかかる程度で十分です。強い力で研ぐと、かえって刃先が欠ける原因になります。
研ぐ位置は包丁の長さを3分割くらいに分けて、まんべんなく研ぐのがコツです。同じ場所ばかり研いでいると、包丁の形が歪んでしまいます。
ステップ4:裏側(刃先が奥)を研ぐ
表側を一通り研いだら、次は裏側を研ぎます。
裏側を研ぐときは、包丁を裏返し、刃先を奥に向けて構えます。
研ぐ動きは表側と同じですが、力の入れ方が少し変わります。
- 力は入れすぎず、包丁の重さだけで研ぐのが基本
- 引くとき(手前に戻すとき)に軽く力を入れる
表側をしっかり研いだ後に裏側を軽く研ぐことで、かえりと呼ばれるバリが立ちやすくなります。
ステップ5:かえりの確認と仕上げ
かえりとは、研ぐことで刃先の反対側にできる、かすかな返り(バリ)のことです。このかえりが出ていることが、正しく研げている証拠です。
かえりを確認する方法はいくつかあります。
- 指の腹でそっと刃先に触れてみる(軽く引っかかる感覚があればOK)
- 爪の上で包丁を滑らせてみる(少し引っかかる)
かえりが出たら、かえり取り(バリ取り)の作業に入ります。
かえり取りは、裏側を軽く数回研ぐだけでOKです。強く研ぎすぎるとせっかくつけた刃が取れてしまうので、優しく行いましょう。
仕上げに、新聞紙や布で刃先をそっと拭くようにしてかえりを取る方法もあります。これで研ぎ作業は完了です。
研ぎ終わりのチェックポイント
包丁を研ぎ終えたら、実際に切れ味を確認してみましょう。
- 新聞紙や紙を切ってみる:引っかからずにスッと切れれば合格
- トマトや玉ねぎを切ってみる:皮が滑らず、スムーズに切れるか
もし切れ味がイマイチだと感じたら、もう一度ステップ3からやり直してみてください。特に角度が一定に保てていないことが原因であることが多いです。
包丁を長持ちさせるための日頃のお手入れ
せっかく研いだ包丁を長持ちさせるには、日頃のケアも欠かせません。
- 使用後はすぐに洗い、しっかり水気を拭き取る
- 乾燥させたあとは、刃に傷をつけないように収納する
- まな板は硬い素材(ガラスや陶器)を避ける
- 冷凍食品など硬いものを切るときは、包丁の負担になるので注意する
これらの習慣を続けるだけで、研ぎ直しの頻度を減らせます。
包丁研ぎに関するよくある質問
Q. 包丁研ぎ器(シャープナー)でも大丈夫?
包丁研ぎ器(シャープナー)は、包丁をセットして引くだけで手軽に切れ味が回復できる便利なアイテムです。
メリットとしては、技術が不要で短時間で済むことが挙げられます。研ぎ方に自信がない初心者の方には、まずはシャープナーから始めるのもひとつの方法です。
ただし、デメリットもあります。シャープナーは刃先だけを研ぐため、包丁全体の形を整えることはできません。使い続けると包丁が厚くなってしまい、結果的に切れ味が悪くなることもあります。
砥石とシャープナーは、完全な代替品というわけではなく、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。日常的なメンテナンスにシャープナーを使い、定期的に砥石でじっくり研ぎ直すという組み合わせも効果的です。
Q. 研ぎ方のコツで一番大事なことは?
包丁研ぎで最も重要なのは、角度を一定に保つことです。どんなに良い砥石を使っても、角度が安定していなければ包丁はきれいに研げません。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か練習すれば自然と感覚が身につきます。完璧を求めすぎず、少しずつ慣れていきましょう。
Q. 逆手で研ぐ必要はありますか?
一般的な研ぎ方では、包丁は右手で持ち、左手で包丁の先端を押さえながら研ぐのが基本です。ただし、これは右利きの方の場合です。
左利きの方は左右を逆にしてください。どちらの手で持つにしても、安定した姿勢で包丁をまっすぐに保つことが大切です。
まとめ|両刃包丁の研ぎ方は基本を押さえれば初心者でもできる
両刃包丁の研ぎ方は、ここまで見てきたように特別な技術ではなく、基本のステップを忠実に守ることが大切です。
- 中砥石(#800〜#2000)を用意する
- 砥石を水に5〜20分浸す
- 包丁を3点支持で安定させる
- 研ぐ角度は10度〜15度(10円玉2〜3枚分の高さ)
- 表側は押すときに力を入れ、裏側は軽く研ぐ
- かえりが出たら裏側を軽く研いで仕上げる
初めての方は、最初から完璧にできる必要はありません。何度か練習を重ねるうちに、自然とコツをつかめるはずです。
包丁の切れ味が戻ると、料理の手際も食材の味わいも変わってきます。ぜひこの機会に、両刃包丁の研ぎ方にチャレンジしてみてください。

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