包丁の切れ味が落ちてきたな……。そんなとき、あなたはどうしていますか?
包丁を研ぐって、なんだか難しそう。砥石を買ってみたものの、正しいやり方がわからなくてそのままになっている、という方も多いのではないでしょうか。
でも安心してください。両刃包丁の研ぎ方は、コツさえ掴めば誰にでもできるものです。
この記事では、初心者の方でも失敗せずに両刃包丁を研げるように、基本の手順とポイントをわかりやすく解説します。
研ぎどきのサインを見逃さない
まずは、包丁が「そろそろ研ぎ時」かどうかの見極め方です。
包丁は毎日使うものですから、研ぐタイミングを逃がさないことが大切です。次のようなサインが出たら、研ぎどきの合図です。
- トマトを切ろうとしたら皮が滑ってうまく切れない
- 玉ねぎを切るときに涙が止まらない(切れ味が悪いと細胞がつぶれて涙の原因になるからです)
- 食材を切るときに包丁を前に押し込むような力が必要になる
これらは、包丁の刃先が目に見えないレベルで丸まっていたり、欠けていたりするサインです。
特にトマトの皮は、切れ味のバロメーターとして最適。毎回トマトを切るわけにはいかないかもしれませんが、もし気づいたら「そろそろ研ぐか」と決断するタイミングです。
専門店の目安として、月に一度程度の頻度で砥石を使って研ぐのが推奨されています。実際の頻度は使用状況によりますが、目安として覚えておくとよいでしょう。
砥石とシャープナーの違い
包丁を研ぐ方法には大きく分けて「砥石を使う方法」と「シャープナー(簡易研ぎ器)を使う方法」があります。
シャープナーは、あらかじめ角度が固定された砥石が付いていて、包丁を引くだけで簡単に研げる便利な道具です。確かに手軽で早いので、初心者やあまり包丁を使わない方には使いやすい選択肢です。
ただ、シャープナーには次のような特徴もあります。
- 砥石に比べて切れ味の持続性が低い
- 刃先だけを削るため、繰り返し使うと包丁の刃が厚くなり、最終的に切れなくなる
- 刃こぼれの修正はできない
一方、砥石を使った研ぎ方は、準備や手順がやや複雑ですが、刃全体を均一に研ぐことができ、長期的な切れ味の回復と包丁の寿命維持に最も効果的です。
包丁を長く大切に使い、本格的な切れ味を求めるなら、砥石を使った研ぎ方を覚えるのがおすすめです。
今回は、この砥石を使った両刃包丁の研ぎ方を詳しく見ていきます。
必要な道具をそろえる
砥石を使った研ぎ方には、次の道具が必要です。
- 砥石(主に中砥石)
- 面直し砥石
- 水を入れる容器
- 新聞紙や布巾
砥石の番手について
砥石には「番手」という目の粗さを表す数値があります。この番手が大きいほど、目の細かい砥石になります。
包丁研ぎでは、#800〜#2000程度の中砥石が基本です。これは、家庭用の包丁を日常的にメンテナンスするのに適した番手です。
荒砥石(#120〜#400)は、刃こぼれを直したり形を大きく整えたりするときに使い、仕上げ砥石(#3000〜)はさらに切れ味を鋭くするためのものです。
初めて砥石を選ぶなら、まずは中砥石を1つ揃えれば十分です。
面直し砥石も忘れずに
砥石は使っているうちに表面が凹んできます。表面が凹んだまま研ぎ続けると、包丁の刃も歪んでしまいます。
面直し砥石は、この砥石の表面を平らに戻すためのものです。砥石とセットで用意しておくと、長く正しく使い続けられます。
両刃包丁の研ぎ方ステップバイステップ
では、実際に両刃包丁を研ぐ手順を見ていきましょう。
ステップ1:砥石を水に浸ける
まず、砥石を水にしっかり浸けます。砥石が水を吸って、研ぎ汁(砥石の粒子と水が混ざったもの)が出やすくなることが大切です。
目安としては、砥石から気泡が出なくなるまで浸けます。メーカーや砥石の種類によって必要な時間は異なるので、購入時の説明も確認してみてください。
研ぎ始める前に、水を入れた容器を用意し、研ぎながら適宜水を足せるようにしておきます。
ステップ2:砥石を安定した場所に置く
水に浸けた砥石を取り出し、滑り止めの上や布巾の上など、動かない安定した場所に置きます。
研ぐときに砥石が動いてしまうと、正しい角度を保てず、包丁を傷める原因になります。しっかり固定することが大切です。
ステップ3:包丁を持つ
包丁の持ち方も、研ぎ方の重要なポイントです。
右手で包丁の柄を握り、左手は刃の先端側の背(刃と反対側の部分)を軽く押さえるように持ちます。左手の指が刃に触れないように注意してください。
このとき、包丁は刃を自分から見て手前側に向けて持ちます(刃先が自分の方に向く状態)。
ステップ4:角度を決める
両刃包丁を研ぐときの角度の目安は、10度〜15度です。
角度の感覚がつかみにくい場合は、10円玉を2枚重ねた厚みを目安にするとよいでしょう。包丁の刃先を砥石に当てて、背(刃と反対側の部分)と砥石の間にそのくらいの隙間ができるイメージです。
この角度をキープすることが、両刃包丁を正しく研ぐ最大のポイントです。
角度が急すぎると刃が欠けやすくなり、角度が寝すぎると切れ味が鈍くなります。最初は慎重に、少しずつ調整しながらやってみてください。
ステップ5:研ぐ(表側)
いよいよ研ぎ始めます。
包丁の刃先全体が砥石に均等に当たるように、中指や薬指で刃の根本から先端までを支えるような感覚で軽く押さえます。
研ぐときの基本は「刃先を手前に引くように動かす」ことです。包丁を砥石の手前から奥へ押すのではなく、奥から手前へ引くように動かします。
力加減の目安としては、包丁の重さで自然に砥石に当たる程度で十分です。強く押しすぎると、刃が欠けたり砥石が早く減ったりするので、包丁の自重を活かすイメージで研ぎましょう。
一定のリズムで、ゆっくりと包丁を引いていきます。10回〜15回程度を1セットとして、途中で角度が変わっていないかを確認しながら進めます。
ステップ6:「かえり」をチェックする(表側)
何度か研いだら、「かえり(バリ)」が出ているか確認します。
「かえり」とは、研ぐことで刃先の反対側にできる、髪の毛よりも細い金属のバリのことです。このかえりが出ることで、刃先がきちんと研がれた証拠になります。
かえりを確認する方法は、包丁の刃先を親指の腹でそっと触れてみることです(刃で切らないよう、軽くなでるだけにしましょう)。表側を研いだ場合、裏側に少し引っかかるような感触があれば、かえりが出ています。
かえりが出るまで表側を研ぎ続けます。出ない場合は、もう少し研ぎ足すか、角度が適切かどうかを見直してみてください。
ステップ7:研ぐ(裏側)
表側でかえりが出たら、今度は裏側を同じように研ぎます。
角度や力加減は表側と同じです。裏側でも同様に、かえりが出るまで研ぎます。
裏側を研いでかえりが出たら、今度は表側でもう一度かえりが出るか確認します。場合によっては、表裏を交互に数回繰り返すこともありますが、基本的には表→裏→確認の流れで大丈夫です。
ステップ8:かえりを取る
両方の面を研ぎ終えたら、最後にかえりを取ります。
かえりは刃先に残ったままでは、せっかく研いでも切れ味に影響します。また、放置すると錆の原因になることもあります。
かえりを取る方法はいくつかありますが、初心者におすすめなのは新聞紙を使う方法です。
新聞紙を何枚か重ねて、その上で包丁を軽く引くように動かします。何度か繰り返すと、新聞紙に金属粉がつくことでかえりが取れたことが確認できます。
刃先を傷めないように、強くこすりすぎないことがポイントです。
ステップ9:試し切りで確認する
ここまで終わったら、実際に何か切ってみて切れ味を確認します。
一番わかりやすいのは、トマトです。研ぐ前は滑っていたトマトの皮が、するっと切れるようになっていれば成功です。
もし切れ味がイマイチだと感じたら、もう一度角度や力加減を見直して、軽く研ぎ直してみましょう。最初から完璧を求めすぎず、少しずつ慣れていくのがおすすめです。
研ぎ終わった後のケア
研ぎ終わったら、包丁と砥石の手入れも忘れずに。
包丁は、研ぎ汁や金属粉がついたままにしないように、しっかり水洗いしてから拭きます。特に刃元や柄との境目は、研ぎカスが残りやすいので注意してください。
砥石も使ったら水洗いし、風通しのよい日陰でしっかり乾かします。直射日光や高温での乾燥は砥石を傷めるので避けましょう。
また、研ぎ終わったあとは包丁を半日ほど放置してから使うことをおすすめするプロもいます。研ぎによって刃先の金属が整う時間を置くことで、より切れ味が安定するといわれています。
よくある疑問に答えます
Q:両刃包丁と片刃包丁は研ぎ方が違うのですか?
はい、違います。
両刃包丁(三徳包丁や牛刀など、洋包丁の多くは両刃です)は、表と裏を同じ角度で均等に研ぎます。
一方、片刃包丁(和包丁の多くは片刃です)は、表側(刃のついている面)と裏側(平らな面)で研ぎ方が異なります。今回ご紹介したのは両刃包丁の研ぎ方です。自分の持っている包丁がどちらかを確認してから研ぎ始めましょう。
Q:研ぐときに力を入れる方向はどうすればいいですか?
包丁の表側を研ぐときは、包丁を手前に引く動きの中で、刃先を砥石に押し当てるように力を入れます(押すときに力)。
裏側を研ぐときは、包丁を引くときに力を入れるのがコツです(引くときに力)。
この「表側は押すときに力、裏側は引くときに力」という切り替えができると、より効率的に研げます。最初はあまり意識しすぎず、自然な動きでやってみてください。
Q:研ぎ汁が足りなくなったらどうすればいいですか?
研ぎが進んで砥石が乾いてきたら、適宜水を足しましょう。研ぎ汁が適度にあることで、砥石の粒子が均一に分散され、包丁を傷めずに研ぐことができます。
「研ぎ汁がドロドロしすぎる」と感じたら水を足し、「水っぽすぎる」と感じたら少し研ぎ進めてみてください。適切な状態を維持するのがポイントです。
包丁を長持ちさせるために
砥石を使った両刃包丁の研ぎ方は、最初は慣れないかもしれません。
でも、何度か練習すれば必ずコツをつかめます。最初は「かえりが出るまで研ぐ」という感覚がつかみにくいかもしれませんが、そこが一番の山場です。頑張って続けてみてください。
もし大きな欠けがある場合や、包丁の形が極端に変わってしまっている場合は、自分で研ぐよりもプロに相談するのが安心です。包丁専門店では、研ぎ直しサービスを行っているところも多いです。迷ったら一度相談してみるとよいでしょう。
両刃包丁の研ぎ方の基本は、「正しい角度をキープしながら、かえりを出すまで研ぐ」ことです。
この記事でご紹介した手順を参考に、ぜひあなたも砥石を使って包丁を研いでみてください。研ぎたての包丁で食材を切る気持ちよさは、きっとやみつきになりますよ。

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