包丁の切れ味が落ちてきたな……そんなとき、まず気になるのが「研ぎ方」ですよね。
とくに初心者の方がぶつかる壁が、包丁研ぎの角度です。
「どのくらいの角度で研げばいいの?」
「角度をキープするコツは?」
「間違った角度で研ぐとどうなるの?」
今回は、包丁研ぎの正しい角度と、砥石を使った初心者向けの研ぎ方を、わかりやすく解説していきます。
包丁研ぎの基本の角度は10度〜15度が目安
包丁を砥石で研ぐときの角度は、10度〜15度が基本です。
この角度は、両刃包丁の代表格である三徳包丁をはじめ、多くの家庭用包丁に共通する目安です。
では、10度〜15度って、具体的にどのくらいの角度なのでしょうか。
イメージしやすいように言うと、10円玉を1〜3枚重ねたときの厚みが目安になります。
- 10度:10円玉1枚分程度
- 15度:10円玉3枚分程度
包丁の刃先を砥石に当てたとき、包丁の背(峰)と砥石の間に、このくらいの隙間ができるイメージです。
もっと簡単に言うと、包丁の背を砥石から4〜5ミリほど浮かせる感覚です。
なぜこの角度が大事なのか
包丁は、刃先にきちんと角度がついているからこそ、食材がスッと切れます。
この角度が大きすぎると、刃先が分厚くなってしまい、切れ味が悪くなります。
逆に小さすぎると、刃先が薄くなりすぎて強度が足りず、すぐに刃こぼれや曲がりの原因になります。
つまり、包丁研ぎの角度は、切れ味と耐久性のバランスを決めるとても大切なポイントなんです。
初心者が知っておきたい「角度キープ」のコツ
角度の数値はわかっても、実際に研ぎながらその角度を保つのが難しい……という方がほとんどです。
ここでは、初心者でも角度をキープしやすくなるコツを紹介します。
手首を固定する
研ぐときは、手首を動かさないことがいちばん大事です。
包丁の柄を握った手のひらを固定し、肘から先をまっすぐに動かすイメージで研ぎましょう。
手首がグラつくと角度が不安定になり、せっかくの研ぎがムダになってしまいます。
包丁の置き方を意識する
砥石に包丁を置くとき、刃先を手前に向けて置くのが基本です。
その状態で、包丁の背を少し持ち上げて、砥石との間に隙間を作ります。
このとき、包丁の峰(背)を砥石にこすらないように注意してください。
峰を砥石に当てたまま研ぐと、包丁の表面に傷がつくだけでなく、意図した角度よりも寝てしまうことがあります。
目印を使う方法
どうしても角度がわからないという方は、角度ガイドを使うのもひとつの手です。
市販の角度ガイドを砥石にセットすれば、常に一定の角度で包丁を置けるので、初心者でも安心して研げます。
包丁研ぎに必要な砥石の種類
角度の次に気になるのが、どの砥石を選べばいいか、ですよね。
包丁研ぎに使う砥石には、大きく分けて3種類の番手があります。
荒砥石(#200〜#600)
刃の大きな欠けや、ひどく切れ味が落ちた包丁を直すときに使います。
初心者が最初に使う砥石ではありません。使い方を間違えると、包丁を傷める原因になります。
中砥石(#800〜#2000)
日常的なメンテナンスに最適なのが、この中砥石です。
とくに#1000番は、初心者にとてもおすすめの番手です。
- 切れ味が落ちてきた包丁を、しっかりと研ぎ直せる
- 荒すぎず、細かすぎず、ちょうど良い研削力
- 研ぎ方を覚えるのに扱いやすい
包丁研ぎをはじめてやる方は、まず#1000の中砥石を1つ買えば十分です。
仕上砥石(#3000〜)
中砥石で研いだあとに使うと、さらに切れ味が鋭くなります。
最初から揃える必要はありません。中砥石に慣れてきたら、追加で検討するとよいでしょう。
中砥石のおすすめ製品
ここで、初心者におすすめの中砥石をいくつか紹介します。
いずれも定評のある製品で、包丁研ぎをはじめる方の選択肢になります。
1. シャプトン 刃の黒幕 オレンジ (#1000)
シャプトン 刃の黒幕 オレンジは、プロからアマチュアまで幅広く支持されている砥石です。
特徴は、硬質なマグネシア砥石であること。砥石自体が減りにくく、研削力が高いのがメリットです。
また、使う前に長時間水に浸ける必要がなく、すぐに使えるのも初心者に嬉しいポイントです。
付属のプラスチックケースがそのまま研ぎ台になるので、別途砥石台を用意しなくても始められます。
デメリットとしては、価格がやや高めであること。また、水に浸けっぱなしにすると劣化する恐れがあるので、取り扱いには注意が必要です。
研ぎの品質を重視する方や、長く使える砥石を探している方に向いています。
2. キング デラックス (#1000)
キング デラックスは、日本で長年親しまれている家庭用砥石の定番です。
焼成砥石と呼ばれるタイプで、刃当たりが優しいのが特徴。
価格が手頃で、ホームセンターなどでも入手しやすいので、手軽に包丁研ぎを始めたい方に選ばれています。
一方で、使用前に十分な水浸けが必要な点はデメリットです。説明書に従って、しっかりと水を吸わせてから使いましょう。
コストパフォーマンスを重視する初心者に、検討しやすい選択肢です。
3. Suehiro(末広)Cerax 両面砥石 CR-3800 (#1000/#3000)
Suehiro(末広)Cerax 両面砥石は、1台で中研ぎと仕上げ研ぎの両方ができるお得な砥石です。
片面が#1000の中砥石、もう片面が#3000の仕上砥石になっているので、これ1つでプロ並みの切れ味まで仕上げることが可能です。
デメリットは、単一の砥石よりは価格が上がること。とはいえ、2枚分の機能が詰まっているので、コスパは良好です。
最初の1台で仕上げまでこだわりたい方に向いています。
4. ナニワ エビ印スーパー砥石 台付 (#1000)
ナニワ エビ印スーパー砥石は、砥石本体に滑り止め兼用の台座が付属しているのが特徴です。
砥石台を別途用意しなくても安定して研ぎ作業が行えるので、道具を揃える手間を省きたい方にぴったりです。
一方で、台座が固定されているため、収納に場所を取る可能性がある点はデメリットです。
複数の砥石を買い足す予定がある方は、台座なしのタイプを選んだほうが柔軟に対応できるかもしれません。
包丁研ぎの具体的な手順
ここからは、実際に砥石を使って包丁を研ぐ手順を説明します。
ステップ1:砥石を水に浸す
砥石の種類によって、水に浸ける時間は異なります。
- 焼成砥石(キングなど):十分に水を吸わせるため、5〜10分程度浸す
- マグネシア砥石(シャプトンなど):数分の浸水でOK。長時間は避ける
まずは使う砥石の説明書を確認しましょう。
ステップ2:砥石を固定する
砥石台や滑り止めマットの上に砥石を置き、しっかり固定します。
研ぐときに砥石が動くと、うまく研げないだけでなく、ケガの原因にもなります。
ステップ3:包丁を研ぐ角度で置く
包丁の刃先を手前に向けて砥石に置きます。
包丁の背を4〜5ミリほど上げて、砥石との間に隙間を作ります。
これが先ほど説明した10度〜15度の角度です。
ステップ4:研ぐ
包丁の刃先全体が砥石に当たるようにしながら、手前に引き寄せるように動かします。
このとき、力を入れすぎないのがコツです。包丁の重さ程度の力で十分です。
研ぐのは、刃先を手前に引くときだけでOKです。往復させる必要はありません。
ステップ5:カエリ(刃返り)を確認する
研ぎ続けると、刃先の反対側にカエリ(刃返り)と呼ばれる小さなバリが出ます。
指でそっと触れてみて、刃先の反対側に軽く引っかかりを感じたら、それがカエリです。
カエリが出たら、その面の研ぎは完了です。
ステップ6:反対側も同じように研ぐ
今度は包丁を裏返して、同じ角度で同じ回数だけ研ぎます。
両刃包丁の場合は、表と裏を同じ回数ずつ研ぐのが基本です。
反対側もカエリが出たら、研ぎ終わりです。
ステップ7:仕上げ(小刃引き)
最後に、小刃(こば)と呼ばれる微細な刃をつける作業をします。
包丁を少しだけ立てて(角度を大きくして)、軽く数回引くだけです。
これで研ぎは完了です。
研いだあとは、必ず包丁をよく洗ってから使いましょう。砥石の粉が残っていると、食材に混ざる恐れがあります。
よくある質問
Q. どのくらいの頻度で研げばいい?
包丁の使い方にもよりますが、目安として2〜3ヶ月に1回が一般的です。
具体的なサインとしては、以下のようなものがあります。
- トマトを切るときに皮がつぶれてしまう
- 玉ねぎを切るときに涙がいつもより出る
- 食材を切る際に包丁を引くような動作が必要
こうしたサインが出たら、研ぎ時です。
Q. 簡易シャープナー(研ぎ器)ではダメなの?
簡易シャープナーは手軽ですが、砥石で研ぐのとは仕上がりが大きく異なります。
シャープナーは刃先を削るというよりは「整える」ことに近く、本当の意味で包丁を研ぐことにはなりません。
また、シャープナーによっては包丁の角度を強制的に変えてしまうものもあり、長期的には包丁の寿命を縮める原因になります。
本格的に切れ味を復活させたいなら、砥石を使うのがいちばんの近道です。
Q. 片刃包丁も同じ角度でいいの?
和包丁の代表格である出刃包丁や柳刃包丁は、片刃です。
片刃包丁の研ぎ方は、両刃とは異なります。
- 表側(刃がついている側):しっかり研ぐ
- 裏側(平らな側):カエリを取る程度に軽く研ぐ
片刃包丁を研ぐ場合は、専門の情報を確認するか、プロに依頼するのもひとつの方法です。
Q. プロに研ぎを依頼する場合は?
「自分で研ぐのはちょっと不安……」という方は、プロの研ぎサービスを利用するという選択肢もあります。
刃物専門店や一部の百貨店では、包丁研ぎのサービスを提供しています。
とくに高価な包丁や、思い入れのある包丁は、プロに任せるのが安心です。
まとめ:包丁研ぎは正しい角度とコツが大事
包丁研ぎでいちばん大切なのは、正しい角度を意識することです。
- 基本の角度は10度〜15度
- 目安は10円玉1〜3枚分、または包丁の背を4〜5ミリ浮かせる
- 手首を固定して、一定の角度を保ちながら研ぐ
初心者はまず中砥石(#1000番)から始めましょう。
シャプトン 刃の黒幕 オレンジ (#1000)やキング デラックス (#1000)など、定評のある製品を選べば、失敗が少ないです。
包丁研ぎは、最初はうまくいかなくて当然です。
何度か練習しているうちに、角度の感覚や、カエリの確認方法が自然に身についていきます。
正しい角度を身につけて、包丁の切れ味を長く保ちましょう。

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