「魚をさばけるようになりたいけど、なんか怖い」
「動画を見ながらやってみたけど、中骨に身がびっしり残って悲惨だった」
そんな声、本当によく聞きます。実は僕も最初はそうでした。手は生臭くなるし、包丁は滑るし、もう二度とやるかと思ったものです。
でも大丈夫。ちょっとしたコツと、適切な包丁一本があれば、魚をさばくのは誰でもできるようになります。今日はその話を、実際の失敗あるあるを交えながらお伝えしますね。
まずは包丁選びから。これで失敗が半分減る
包丁で魚をさばくとき、最初の関門が「どの包丁を使うか」です。普段使っている包丁でチャレンジして、滑って怖い思いをした人も多いはず。
なぜ滑るのか。理由は単純で、魚の表面は水分と脂で覆われているからです。刃が滑らかすぎる包丁だと、ここで弾かれてしまうんですね。
では何を選べばいいのか。
最初の一本におすすめなのは、16.5cmから18cmくらいの三徳包丁です。
万能包丁とも呼ばれるこのタイプは、刃先にほどよい厚みがあり、魚の表面に引っかかってくれます。ステンレス製なら手入れも簡単だから、忙しい夜でも気軽に使えますよ。
具体的には、貝印 関孫六 ステンレス三徳包丁 165mmや藤次郎 プロ 三徳 170mmが、研ぎやすさと錆びにくさのバランスがよく、入門にぴったりです。
「いや、本格的に出刃包丁が欲しいんだよな」という方は、いきなり大きなものを選ばないでください。10cmから12cmの小型出刃包丁が扱いやすいです。正広 ステンレス出刃包丁 105mmあたりなら、値段も手頃で、骨を断つ作業も怖くありません。
刺身を美しく切りたいときの柳刃包丁は、まず三徳包丁で練習してから。順番に揃えていくのが、結局近道です。
絶対に知っておきたい下処理の基本。生臭さはここで決まる
さあ包丁が用意できたら、いよいよ魚をさばいていきます。でもちょっと待ってください。いきなり三枚おろしを始める前に、絶対に外せない工程があるんです。
それがウロコ取りと内臓処理。これを雑にやると、何をやっても生臭くなります。
ウロコは尾から頭に向かって包丁の背でこそげ落とします。このとき、まな板の下に新聞紙を敷いておくと、飛び散ったウロコの片付けが圧倒的に楽になるのでおすすめですよ。
内臓を出すときの注意点は、胆嚢を潰さないこと。潰れると強烈な苦味が身に回ってしまいます。肛門の少し上に包丁の刃先を入れ、そっと切り開きながら、指で内臓を引き出してください。
そして、ここが多くの人がやっている大失敗。
魚を水道水でジャブジャブ洗っていませんか?
実はそれ、旨味を流し落としてるんです。魚の身は水に触れると、どんどん風味が抜けていきます。洗う代わりにキッチンペーパーで丁寧に水分と血合いを拭き取る。これだけで、刺身にしたときの味わいが全然違いますよ。
三枚おろしの一番難しいところ。中骨に身を残さないコツ
いよいよ本題。三枚おろしです。頭を落として、腹を開いて、背中から刃を入れていく。手順自体はいろんな動画で見られるけど、実際にやってみると中骨に身がベッタリ残る。この悩み、本当に多いんです。
なぜそうなるかというと、包丁の刃を中骨から離しすぎているから。身と骨の間にある薄い膜の、さらに骨ギリギリを狙わないといけないんですね。
コツは、包丁をまっすぐ寝かせすぎないこと。少しだけ角度をつけて、刃先が中骨に軽く当たる感覚を意識します。
この「コツコツ」という感触が包丁から伝わってきたら正解です。あとは一気に刃を動かすのではなく、5センチずつくらいの小刻みなストロークで進んでください。焦らずリズムよく。
腹骨の処理も悩みどころですよね。あの細くて固い骨。包丁の刃先で一本一本すくい取ろうとしていませんか?
腹骨は、包丁の刃を寝かせて骨にあてがい、身を押さえながら引き抜くようにすると、驚くほど綺麗に取れます。 刃先で切るより、骨の根本を剥がすイメージです。
皮引きと刺身の切り分け。最後の仕上げで差がつく
三枚におろせたら、あとは皮を引いて刺身に仕上げていきます。皮引きにもちゃんと意味がある包丁の角度があるんですよ。
身を手前に、皮をまな板側にして、包丁はまな板と水平よりほんの少しだけ刃先を下げる。 この角度で、皮と身の間の薄い膜を断ち切るように進むと、身がボロボロになりません。ここが水平すぎると皮に刃が入りすぎて破れるし、角度が付きすぎると身を削ってしまう。絶妙なラインですが、失敗した皮も練習だと思えばいいんです。
刺身の切り分けは、ぜひ柳刃包丁でやってみてほしい。手前に引く一発で切るのが基本です。最初から正広 ステンレス柳刃包丁 210mmを一本持っておくと、刺身の断面がつやつやになって、感動しますよ。
もし三徳包丁で切るなら、同じく手前に引くようにして、何度も往復させないこと。細胞を潰さないから、口に入れたときの舌触りが全然違います。
アジとサバ、最初にさばくならどっち?
包丁で魚をさばく練習を始めるとき、どの魚を選ぶかも大事なポイントです。
アジは小型で骨が柔らかく、ウロコも取りやすいから、まさに練習用にうってつけ。ゼイゴと呼ばれる側面の固いウロコを最初に処理すれば、あとはスムーズです。
一方、サバは少し難易度が上がります。身が柔らかく崩れやすいので、より丁寧な包丁さばきが求められるんです。ただ、アジに慣れたら次はサバに挑戦してみてください。脂が乗っていて、自分でさばいたサバの刺身やしめ鯖は格別ですよ。
どちらにしても、鮮度がいいものを選ぶのが大前提。目が澄んでいて、体に張りがあるもの。触って弾力を感じるものを選んでください。
使った後の手入れまでが魚さばき
魚をさばいたあとの片付け、ここでめんどくさくなって適当にしちゃうと、次に使うときに悲惨なことになります。包丁もまな板も、魚の脂とタンパク質がこびりついているからです。
包丁は中性洗剤でよく洗い、水分を完全に拭き取ってから収納する。 これだけで錆びや臭い移りが圧倒的に減ります。特に鋼の包丁を使っている人は、乾燥が命です。ついでにまな板も、塩をふってたわしでこすると臭いがかなり消えます。
このひと手間を面倒に思わずやれるようになったら、あなたはもう立派な魚さばきの仲間入りです。
最初は誰でも下手です。身はボロボロ、骨だらけの刺身が食卓に並ぶかもしれません。それでも、スーパーの切り身とは違う、包丁で魚をさばきたての味を一度知ってしまうと、不思議とまたやりたくなるんです。
アジ一匹、三徳包丁一本。この週末に、ぜひチャレンジしてみてください。

コメント